【保存版】Stan’sシーラント徹底ガイド|適正量・補充ルール・寿命と正しい運用方法

2025年11月3日by 所沢バイクプラス

タイヤの中にチューブを入れないチューブレスレディが当たり前になりつつあるロードバイク、グラベル、MTB。その性能を支えるのが「タイヤシーラント」です。

小さなパンク穴を瞬時に塞ぎ、ライドを継続できる心強い味方のシーラントですが正しい理解がないと

「補充しすぎで重量増」
「補充していないことでパンク時に性能が発揮されない」

といったトラブルにもつながります。

この記事では、Stan’s公式情報+日本代理店(ミズタニ自転車)の補足+メカニックの現場知見を組み合わせて、シーラントの正しい使い方をまとめます。顧客向けながら、専門性・信頼性も盛り込んでいるので、整備担当の方にも役立つ内容です。

👉 チューブレス化の魅力と方法はこちら(ロード編)
👉 チューブレス化の魅力と方法はこちら(MTB編)


はじめに:シーラントの役割と誤解

チューブレスシステムは、ロード・グラベル・MTB問わず急速に広がっています。低圧運用による快適性やグリップ力、そしてパンクリスクの低減。このメリットを支えてくれるのがタイヤシーラントです。

釘が刺さったタイヤをシーラントが塞ぐイメージ
走行中の微小パンク孔を瞬時に塞ぐのがシーラントの役割。入っていなければ性能は発揮されません。

しかしシーラントはタイヤ内部に隠れているため、「どれくらい入れればいいの?」「どのくらいの間隔で補充するの?」といった部分が分かりにくいもの。
例えば誤った知識として

  • 補充のたびに規定量を丸ごと追加してしまう(=過剰補充)
  • 「シーラントは一度入れたらしばらく安心」という誤った思い込み
  • 半年以上放置して乾ききり、いざパンクという時に穴が塞がらない

こうした誤解はトラブル発生時に「チューブレスは面倒」という印象につながります。ですが本当は、Stan’s公式のルールを守るだけでシンプルに運用できるのです。


Stan’s公式が示す適正量と補充ルール

Stan’s NoTubesはチューブレス黎明期から市場を牽引してきたブランドで、本国サイトの公式チャートにタイヤサイズごとの「適正量」を明記しています。

初回規定量と補充量(25%)

以下の表は、公式チャートをもとにした代表的なサイズの初回量と、FAQで示される「補充=規定量の25%」を併記したものです。

タイヤサイズ 初回規定量(ml / oz) 補充目安25%(ml / oz)
700×28c 50 ml(1.69 oz) 13 ml(0.42 oz)
700×32c 55 ml(1.86 oz) 14 ml(0.46 oz)
700×40c 60 ml(2.03 oz) 15 ml(0.51 oz)
650b × 47 mm 80 ml(2.71 oz) 20 ml(0.68 oz)
27.5×2.3 100 ml(3.38 oz) 25 ml(0.85 oz)
27.5×2.4 105 ml(3.55 oz) 26 ml(0.89 oz)
27.5×2.5 110 ml(3.72 oz) 28 ml(0.93 oz)
27.5×3.0 135 ml(4.56 oz) 34 ml(1.14 oz)
29×2.3 105 ml(3.55 oz) 26 ml(0.89 oz)
29×2.4 110 ml(3.72 oz) 28 ml(0.93 oz)
29×2.5 125 ml(4.23 oz) 31 ml(1.06 oz)
29×2.8 130 ml(4.40 oz) 33 ml(1.10 oz)
29×3.0 140 ml(4.73 oz) 35 ml(1.18 oz)
26×1.95 80 ml(2.71 oz) 20 ml(0.68 oz)
26×4.0(FAT) 175 ml(5.92 oz) 44 ml(1.48 oz)
26×5.0(FAT) 230 ml(7.78 oz) 58 ml(1.94 oz)

※ 初回量=Stan’s公式チャート、補充=FAQに基づく25%ルール。小数は四捨五入。

補充はあくまで「25%」。
フル量を毎回追加するのは誤りであり、重量が増すだけでなく、シーラントの種類によっては塊になったり、空気を入れる際にバルブから逆流したりと性能と扱いやすさの低下につながります。


シーラントの補充方法

バルブコアツールバルブコアを外し、上記の表の補充目安(規定量の25%)を注入します。シーラントの容器は逆さにしてよく振って中身を攪拌してから使用します。

シーラントをよく振って攪拌する様子
使用前にボトルをよく振り、粒子を均一に分散させてから注入しましょう。

補充用のミニボトルのシーラントを直接注入、もしくはインジェクター(注射器)を使用して大ボトルから注入するのが一般的です。

インジェクターでバルブからシーラントを注入する様子
補充が終わった60mlボトルの空容器を洗って取っておくことで、よりお得な250mlボトルから適切な量ごと移し替えて補充も可能。
※レースシーラントはタイヤを外して補充する必要があるため、バルブからの注入はできません。

シーラントの寿命と点検サイクル

Stan’s公式FAQでは、オリジナルシーラントの寿命は2〜7か月(レースシーラントは2~3週間)とされています。幅が大きいのは、使用環境や気候によって差が出るからです。

さらに同FAQにはこう明記されています:
A good preventative maintenance schedule for most riders is to check/refresh your sealant quarterly (every three months).

つまり3か月ごとの点検&25%補充が公式推奨の“予防整備”ということです。

日本代理店(ミズタニ自転車)の補足

日本では夏の猛暑や冬の寒冷地など環境変化が大きいため、代理店のミズタニはFAQで「2〜6か月持続。ただし3か月ごとのチェックと25%補充を推奨」と案内しています。公式情報をベースに、日本の気候に合わせて明確化しているわけです。

補充作業のクローズアップ
専用インジェクターを使用すれば、適切な量の補充ができる。季節と使用状況で寿命は変わります。定期チェックで“いつでも効く”状態をキープ。

季節ごとの注意点

日本の四季はシーラントの寿命に大きく影響します。季節ごとのメンテナンスポイントを整理します。

  • 夏(猛暑):高温で蒸発が早い → 2〜3か月ごと点検が安心。
  • 夏の炎天下での駐輪が多い:2か月ごとの点検がより安心。
  • 冬(寒冷地):蒸発は遅いが粘度増で性能低下 → 3〜4か月ごと点検。

よくある誤解と正解

  • 「半年に一度で十分」 → 日本の気候では不十分。3か月ごとが現実的。
  • 「補充は毎回フル量」 → 25%追加で十分。
  • 「乾いたらタイヤ交換」 → 再充填で再利用可能。もし劣化したシーラントが残っていればタイヤを外し拭き取る。
  • 「すごく小さい穴なのに塞いでくれなかった」 → 補充が少ないもしくは液量が少ない可能性も。


まとめ:正しいシーラント管理で快適なライドを

Stan’sオリジナルシーラントの正しい使い方を整理すると以下の通りです。

  1. 初回は公式チャートの適正量を守る。
  2. 3か月ごとにチェック&25%補充を行う。
  3. 季節に応じて補充サイクルを調整(夏は短め、冬は緩め)。
  4. 完全乾燥時は再充填でOK(残渣は拭き取り)。

これらを実践すれば、チューブレスの信頼性は大幅に高まります。
「面倒そう」と思われがちなチューブレスですが、実はシンプルなルールを守るだけ。
正しく使えば軽さ・快適性・耐パンク性のすべてを両立できる最高のシステムです。

スタンズの製品はこちらからお求めいただけます!
👉 Stan's no tubes Collection ページ

「3ヶ月ごとのシーラント補充をご自身でやるのが面倒...」「買って保管しておいたシーラントが古くなっていくのが嫌...」そんなお客様は、私たちにお任せください(有料)。

3ヶ月ごとにロングライドついでにお店にお立ち寄りいただき、スタッフに「シーラント補充して」とお声がけいただければ速やかに対応させていただきます。


参考文献・出典

  1. Stan’s公式:How Much Sealant Should I Add to My Tires?(タイヤサイズ別推奨量の公式チャート)。
  2. Stan’s公式FAQ:Sealant Supportquarterly (every three months)の点検、Race Sealantはバルブ注入不可 等)。該当箇所:How long will the sealant last…What is Race sealant?
  3. ミズタニ自転車(国内代理店):STAN’S | Q&A(TIRE SEALANTは2〜6か月、3か月ごとのチェック推奨、RACE SEALANTは2〜3週間点検 推奨)。
  4. ミズタニ自転車:タイヤシーラントボリュームガイド(日本語の量目安まとめ)。
鶴見 峻也(Tsurumi Shunya)

鶴見 峻也(Tsurumi Shunya)

セールス&メカニックバイクプラス所沢店スポーツ自転車歴10年、自転車ショップ勤務歴8年

大学時代に大手自転車販売店でアルバイトを経験。シティサイクルの販売を通して「カスタムはシンプルかつ機能的に」が自分のモットーに。 自分で組めるパーツはできるだけ自分の手で仕上げたいタイプで、ホイールの手組みもお手のもの。気づけばハブを中心にパーツがどんどん増えていくほどのメカ好きです。 現在は輪行と自走を組み合わせたロードバイクでのロングライドを中心に、フラットバーグラベルバイクでのショートツーリングも楽しんでいます。

専門/得意分野
  • ロードバイク
  • マウンテンバイク
  • クロスバイクの販売整備
  • 得意分野:いつもの生活の中でも活躍できるバイクカスタム
保有資格
  • 自転車安全整備士
  • 自転車技士
  • TREK University 2025認定ガイド取得